※本ページは広告による収益を得ています。

念仏札

一遍上人語録

門人伝説

 門人伝説72

また云(いわく)、「従是西方過十万億仏土《これより西方に十万億の仏土を過ぐ》」といふ事、実に十万億の里数を過ぐるにはあらず、衆生の妄執のへだてをさすなり。善導の釈に、「隔竹膜即踰之千里とおもへり」といへり。ただ妄執に約して、「過十万億」と云。実には里数を過ぐる事なし。故に経には、「阿弥陀仏去此不遠《阿弥陀仏ここを去ること遠からず》」と説けり。衆生の心をさらずといふ意なり。

およそ大乗の仏法は心の外に別の法なし。ただし聖道は万法一心とならひ、浄土は万法南無阿弥陀仏と成ずるなり。万法は無始本有の心徳なり。しかるに、我執の妄法におほはれて、その体あらはれがたし。今、彼の一切衆生の心徳を願力をもて、南無阿弥陀仏と成ずる時、衆生の心徳は開くるなり。されば名号はすなはち心の本分なり。これを「去此不遠」ともいひ、「莫謂西方遠、唯須十念心」ともいふなり。

 

我みづから◀ ▶まよひも

 

上巻

下巻

 

 





ページのトップへ戻る