一遍上人語録
門人伝説
門人伝説57
また云(いわく)、大経に、「住空無相無願三昧《空・無相・無願の三昧に住す》」と説けり。これすなはち名号なり。
我等は無相離念の観法もならず。自性無念のさとりもならず。底下愚縛の凡夫なれども、身心を放下して、ただ本願をたのみて一向に称名すれば、これすなはち自性無念の観法なり。
これを観経には、「廓然大悟得無生忍《廓然として大悟して無生忍を得たり》」と説けり。およそ名号に帰しぬれば、功徳として不足なし。これを無上功徳ととき、これを他力の行といふなり。
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