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念仏札

一遍上人語録

消息法語

上人いさゝか御悩おはしましけるとき、書て門人にしめしたまふ御法語

それ、生死本源の形は男女和合の一念、流浪三界の相は愛染妄境の迷情なり。男女形やぶれ、妄境おのづから滅しなば、生死本無にして、迷情ここに尽きぬべし。

華を愛し月を詠ずる、ややもすれば輪廻の業。仏をおもひ経をおもふ、ともすれば地獄の焔。ただ一心の本源は自然に無念なり。無念の作用は真に法界を縁ず。

一心三千に遍ずれども、もとよりこのかた不動なり。然りといへども、自然の道理をうしなひて、意楽の懇志(こころざし)を抽(ぬきん)で、虚無の生死にまよひて幻化の菩提をもとむ。

かくのごときの凡卑の族(やから)は、厭離穢土欣求浄土のこころざしを深くして息たえ命終らんを喜び、聖衆の来迎を期して弥陀の名号をとなへ、臨終命断のきざみ、無生法忍にかなふべきなり。南無阿弥陀仏。

   弘安七年五月二十九日        一遍

 

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