一遍上人語録
偈頌和歌(げじゅわか)
和歌16-17
江州守山のほとり閻魔堂といふ所におはしけるとき、延暦寺東塔桜本の兵部竪者重豪(ひょうぶじゅしゃしげとし)といふ人、上人の体(てい)を見むとて、まゐりたりけるが、をどりて念仏申さるる事けしからずと、申されければ
はねばはね踊らばをどれ春駒の のりの道をばしる人ぞしる
重豪のかへしに、「こころ駒のりしづめたるものならばさのみはかくや踊りはぬべき」と読みて奉られければ、御かへし
ともはねよかくてもをどれ心ごま 弥陀の御法と聞くぞうれしき
上巻
下巻