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念仏札

一遍上人語録

門人伝説

 門人伝説06

また云(いわく)、深心の釈に、「自身現是罪悪生死凡夫、曠劫已来、常没常流転、無有出離之縁《自身は現にこれ罪悪生死の凡夫、曠劫よりこのかた、常に没し常に流転して、出離の縁あることなし》」といふこと。世の人おもへらく、「この身の為に種々の財宝をもとめはしり、妻子等を帯したるを、これ凡夫のくせなり、かかる事をえすてねばこそ、罪悪生死の凡夫の物の用にもたたぬ身ぞ」と釈せられたりと云々。この義しからず。

悪きものの出離の用にも立たねばこそ、この身をばすつべけれ。されば、下の釈には、「仏の捨てしめ給ふをばすて、去らしめ給ふをばされ」と曰(い)へり。わろしとは知りながら、いよいよ著して、こころやすくはぐくみたてんとて、財宝妻子をもとめて、酒肉五辛をもてやしなふ事は、えせものと知りたる甲斐なし。わろきものをばすみやかにすつるにはしかず。

 

至誠心を◀ ▶自身現是罪悪生死凡夫

 

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