一遍上人語録
門人伝説
門人伝説101
また上人、鎌倉にいたり給ふ時、故ありて武士かたく制止していれたてまつらず。殊さらに誹謗をなし侍りければ、上人云(いわく)、「法師にすべて要なし。ただ人に念仏をすすむるばかりなり。汝等いつまでかながらへて、かくのごとく仏法を毀謗すべき。罪業にひかれて冥途におもむかん時は、念仏にこそたすけられ奉るべきに」と。
武士、返答もせずして、上人を二杖まで打ち奉るに、上人はいためる御気色もなく、「念仏勧進を我いのちとす。然るを、かくのごとくいましめられば、いづれの所へか行くべき。ここにて臨終すべし」と曰へりと云々。
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