一遍上人語録
門人伝説
門人伝説20
また云(いわく)、極楽はこれ空無我の浄土なるが故に、善導和尚は、「畢竟悄遥離有無」と曰へり。往生人を説くには、「皆受自然虚無之身、無極之体」といへり。
されば名号は青黄赤白の色にもあらず、長短方円の形にもあらず。有にもあらず無にもあらず。五味をもはなれたる故に、口にとなふれどもいかなる法味ともおぼえず。すべていかなるものとも思ひ量るべき法にもあらず。
これを「無疑無慮」といひ、十方の諸仏はこれを不可思議とは讃へ給へり。ただ声にまかせてとなふれば、無窮の生死をはなるる言語道断の法なり。
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