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念仏札

一遍上人語録

門人伝説

 門人伝説21

また云(いわく)、自力の時、我執驕慢の心はおこるなり。そのゆゑは、わがよく意得、わがよく行じて生死を離るべしとおもふ故に、智恵もすすみ行もすすめば、我ほどの智者、われ程の行者はあるまじとおもひて、身をあげ人をくだすなり。

他力称名に帰しぬれば、驕慢なし、卑下なし。その故は、身心を放下して無我無人の法に帰しぬれば、自他彼此の人我なし。田夫野人・尼入道・愚痴・無智までも平等に往生する法なれば、他力の行といふなり。

般舟讃に、「三業起行多驕慢《三業の起行は驕慢多し》」といふは、自力の行なり。「単発無上菩提心、廻心念念生安楽《ひとえに無上菩提心を発(おこ)し、心を廻して念々に安楽に生ぜよ》」といふは、三心をすすむるなり。自力の行は驕慢おほければ、三心をおこせとすすむるなり。

 

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